家出をしたい

先週火曜日、夫とケンカした。

ケンカと言っても夫の行動に私が怒るといういつものことではあったが、今回は繰り返される夫のだらしなさにもううんざりだった。

繰り返される夫のだらしなさとは、夫の酒癖である。

飲んで気分が良くなると、ベロベロになっても飲むのをやめられない。

ただ立つこともできずフラフラで人にぶつかりながら歩き、それを注意されると反論してくるのがいつものことで、ここまでくると会話は不可、帰らせるしか手段はない。

何度言っても酒癖を直せないのであれば、私が行動を起こしわからせるしかないだろう。

そういうわけで家出を決めた。

どうしても家出がしたかったのだが、その日のローマは祝日で宿はどこも空きなしか高額。

無駄な出費は避けたい私はある計画を思いついた。

目的は反省させることなので、家出と見せかけビビらせれば満足。

と言いうわけでよく着る服や本、ラップトップを大きなカバンに入れてクローゼットに隠し、歯ブラシや化粧道具も棚の奥に隠す。

どうせなにも疑わず探さないと思ったがとりあえずいろいろ隠し、“反省しな、もううんざり”と手紙を書き、結婚指輪も一緒に置いた。

そして夫が帰ってくる頃、雨戸を閉め電気を消し家に鍵をかけて屋上へ身を隠した。

車のエンジンが止まり、カギを開ける音などすべて丸聞こえなのも知らない夫は、家に入るなり焦ったのか大量の電話をかけてきた。

ここまで上手にできるとおもしろいもんである。

他人がネットに書く夫の悪口を見てそんな嫌ならなぜ別れないかと疑問だが、こういう小さな“夫のダメなところ”を見逃しているうちに、いつの間にか大きな不満になり、気が付いたころにはもう人として好きでいられなくなったのかなと考える。

だとしたら1つ1つ話し合いを重ねて改善していく…結局は会話なのかと思う。

さて、家出した妻に今は電話すべきでないと諦めと悲しみのメッセージが入ったところで、私も蚊に刺され痒くてたまらなかったので下に降りることにした。

私を見るなり泣きそうになる夫を見て、私は笑いを堪えるのに必死だった。

しゅんとしている夫は反省の意を述べ、いつも通り間違えて私の右手薬指に結婚指輪をはめた。

やっと滞在許可証カードがもらえ自由に出入国が叶うので、次の逃亡先は日本と決めている。

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