数回会うと親切になるチレント人

まだ夏休みの話の続き。

イタリアは地方ごとに言葉や習慣、顔つきまでもが違うとよく言われる。

ローマに住みイタリア語があまりわからない私でも、ローマ人と休暇先のチレント付近の人々の違いははっきりわかった。

たとえば、ある果物とパニーニが美味しいお店を気に入り、私たちは3回通った。

1回目はなにがあれば笑うのかと思うほどの無表情。

2回目は美味しかったからまた来たよ、の一言にはにかむだけ。

3回目も入店してもあいさつなし。

しかし「今日はいちじくないの?」「今日ローマに帰るから最後に買いに来たんだよ」とこちらが話し出せば、どれどれと動き出す。

そこで果物やパニーニについて話し出すうちに、お店そしてこの地域の話になり、やっと夫や私に興味を持ってくれたのか、急に夫の仕事や勤務先まで知りたがる。

家族経営だったお店のおじいちゃんは「あんた日本人だね?俺にはわかる。日本が大好きなんだよ、車だってヤリスだし!」

おねえさんは「あなた肌綺麗だけどおすすめの化粧品は?日本製のものでね」

おばさんは「うちは民宿もやってるの。パンフレットを持ってくるから待ってて」

とすごい話す!

そんな日本にも興味あるならもうちょっと早くフレンドリーにしてよね~と内心思うが、あの無表情から笑顔が見れて嬉しい限り。

出発直前にはスイカひと玉までくれ、家族総出で見送ってくれる優しい一族であった。

さらにキャンプ場でも。

キャンプ場には共同の冷凍庫がなかったので、保冷剤をどこかで凍らせられるか聞くと、無表情で預かってくれた。

2日目、3日目も同じ。

4日目にしてやっといつもの女の子が「あなたどこから来たの?」と話しかけてきてくれた。

するとそこに他の店員さん達も集まりだす。

最後には「私日本にいつか行ってみたいのよ」とまで言ってくれた。

また違う夜は夫と友達が併設されたバーへアマーロを買いに行くと、顔なじみになった店員さんと話が弾んだようでみんなにサービスしてもらった。

かわいらしい店員さん達であった。

ここら辺の人は警戒心が解けば一気に距離を縮めてくれる。

人々の雰囲気や話し方が、幼いころに祖母やいとこを訪れに行く田舎を思い出させてくれ、なんだか懐かしく穏やかな気分にさせてくれた。

彼らに忘れられないうちに戻ってきたい。

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