ローマの公共交通機関は極めて緩い。
働く人もマイペース、バスは当然メトロも時間通りでないし、故障やらなんやらで駅が閉鎖されても驚きはしない。
通勤にバスとメトロを使うものとしては大変迷惑だが、この緩さに助けられることもある。
ある日のこと。
私は財布を家に忘れた。
バスは切符を通さないのでそのままメトロの駅まで来てしまった。
本当はバスも切符を通さなければならないが、この路線は誰も通さずチェックも20年間入ってないらしく、良くはないが私も切符を持っていても通さない。
そういうわけで財布を家に忘れたことに、駅に着くまで気が付かなかった。
さて、メトロに乗るには切符が必須。
戻る時間はないが、お金もないので不愛想な若い女性係員に頼み込むしかない。
私「今日急いで家を出てきたから、財布を家に忘れてし」
係員「どうしたいの!?(なぜか不機嫌)」
私「明日払うから通らせてくれる?」
係員「こっちへいらっしゃい」
私「本当にありがとうございます」
係員「……」
お礼は無視されたが感謝、こう融通が利くところがローマのいいところである。
ちなみに次の日ちゃんと2€を握り同じ女性係員にお礼に行くと、昨日とは打って変わって笑顔。
そんなの要らないわよ、早く行きなさいと拒否されてしまった。
赤の他人には優しさを出し惜しみするのがローマ人であると思う。
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